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【Podcast:第9弾】福岡工業大学 松薗部長と語る「組織改革の舞台裏」~改革の裏にある“対話”と“熱量”~
皆さま、こんにちは。「エデュ研ラジオ」は、株式会社エデュース学校経営研究所が運営する、教育機関の皆さまに向けた情報発信Podcastです。
2025年10月28日開催した人事総務セミナー「福岡工業大学の未来を拓く組織・人材戦略」は、全国の学校法人から140名を超える申し込みをいただき、大好評を博しました。
今回のブログでは、アフタートークセッションとして収録したPodcastの内容をダイジェストでお送りします。詳しくはぜひポッドキャスト本編をご視聴ください!
エデュース研究員(以下、エデュ): 皆さま、こんにちは。「エデュ研ラジオ」へようこそ。
今回は、「福岡工業大学の未来を拓く組織・人材戦略」のアフタートークをお届けします。
ゲストはセミナー本編に引き続き、福岡工業大学 総務人事部長の松薗さんです。松薗さん、よろしくお願いします!
松薗部長(以下、松薗): よろしくお願いします。
エデュ: セミナー本編も非常に濃い内容でしたが、今回はそこで語りきれなかった「リーダーのリアルな葛藤」や「突破口」について、さらに深掘りさせてください。
特に、松薗さんがおっしゃっていた「対立しがちな相手との対話」について。現場と管理側で板挟みになることは、どの大学でも共通の悩みだと思います。
信頼関係を築く「3つのスタンス」とは?
松薗: そうですね。特に人事制度を変える時などは、「現場を分かっていない」と反発を受けがちです。だからこそ、私は対話の下地作りとして3つのことを心がけています。
一つ目は「管理職としての自覚」。事務組織の管理職は、すべからく「経営の一員」であるという前提に立つこと。
二つ目は「本音のコミットメント」。「忖度なしで言ってほしい」と伝え、こちらも胸襟を開いて話すことです。
エデュ: なるほど。そして三つ目が、個人的に非常に響いた「Giveの蓄積」ですね。
松薗: はい。現場からの「人が足りない」という要望に、すぐに応えられないこともあります。でも、そこで終わらせず「別の形での支援」を提案するんです。
例えば、優秀な人材を他部署へ異動させる際も、「将来的に信頼できる相手が他部署にいることは、あなたの仕事のしやすさに繋がる」と、長期的なメリットを丁寧に説明します。
そうした「この人と話せてよかった」と思えるGiveの積み重ねが、信頼関係を作っていくんです。
教職協働は「入職初日」から始まる
エデュ: その「長期的な視点」は、教員との対話にも通じますか?
松薗: まさにそうです。 丁寧な対話、という意味では教員・職員で変わることはありません。
加えて、本学では5年前から、入職初日に「学園概要研修」という1日がかりの研修を行っています。
理事長や学長が直接、「私立大学としての生き残り」や「経営マインド」を熱く語ります。私立大学で働くことのスタンスについて早い段階で目線合わせをしてもらっています。
エデュ: 最初からトップが直接語りかけるんですね そこで組織としての危機感や方向性を共有してしまう、と。
制度よりも、まずは「人・組織」を知る熱量を
エデュ: 最後に、変化の激しい時代において、人事担当者や職員の皆さまへメッセージをお願いします。
松薗: どんなに優れた制度も、運営する側の「熱意」がないと成功しません。
その熱意を活かすためにも、新しい仕組みを入れる前に、まずはご自身の「組織」や、そこで働く「人」を深く理解してほしいですね。
その探究心こそが、すべての改革の始まりになるのではないでしょうか。
エデュ: 「組織や人を知る探究心」。
手練手管よりも、まずは自身の熱意を自覚し、そこに向き合うこと、それが改革の第一歩なんですね。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
編集後記:研究員の視点
今回のインタビューで特に印象的だったのは、対話を土台に自分たちの組織に似合う服をフィッティングするように制度を構築する丁寧なプロセスです。
対話を「その場限りの交渉」ではなく、数年スパンの「長期的な時間軸」で捉える、時間をかけて対話を重ねることで、学内に「同志」を広げ、自分たち組織の理解を深め、そこにフィットする制度を考えていく。
そのプロセスはさながら「オーダーメイドのスーツづくり」にも似ています。どれほど流行の制度であっても、自校の文化や現状という「体つき」に合っていなければ機能しません。その「似合う服」を見つけるために、泥臭い「対話」と、組織を良くしたいという「熱量」を通じてその「似合う服」を見つけることが不可欠であること。これこそが、福岡工業大学の改革の鍵だと改めて実感させられるエピソードでした。
(文責:エデュース学校経営研究所 ブログ編集部)
▼Podcast本編はこちらからお聴きいただけます
松薗様による「管理職の壁打ち相手としての役割」など、より深い議論はぜひ音声でお楽しみください。
#9 福岡工業大学 松薗部長と語る「組織改革の舞台裏」~改革の裏にある“対話”と“熱量”
番組は、Spotify、Apple Podcast、Amazon Musicでご視聴できます。

語り手
松薗 裕二 氏(福岡工業大学 総務人事部 部長)
民間企業での法務責任者を経て、2017年に福岡工業大学へ入職。2023年より現職。
聞き手
エデュース学校経営研究所 研究員:栗原 智、大庭 真梨子、土生 秋子
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