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【Podcast:第10弾】本間政雄の高等教育ラボ⑤「他大学ではどうしてる?」の悩みを解消!現場から大学を変えるための職員のための“越境プログラム”とは?
皆さま、こんにちは。「エデュ研ラジオ」は、株式会社エデュース学校経営研究所が運営する教育機関の皆さまに向けた情報発信Podcastです。
今回の記事では、Podcast「本間政雄の高等教育ラボ」第5弾「現場から大学を変える。職員のための“越境プログラム”とは?」の内容を凝縮してお届けします。
「うちの大学のやり方って、本当にこれでいいのかな?」「他大学ではどうしているんだろう?」……。
何かを進めようとするときに、ふと、他大学ではどうしてるのかなと思うことはありませんか?
今回のPodcastでは、そんな悩める職員の皆さんにきっと役立つ「改革志向型若手・中堅職員育成プログラム」の全貌について、本間政雄先生にじっくりとお話を伺いました。
1:「改革志向型プログラム」とはなにか?
1泊2日の”徹底的に実践的”な課題解決型プログラム
educe:
まず、このプログラムの特徴について教えて下さい。
本間先生:
一言で言えば「徹底的に実践的」であることです 。よくある座学や理論の勉強ではありません。
全国の私立大学から若手・中堅職員が集まり、1泊2日の合宿形式で行います。
毎年夏に開催しており、これまで7回実施され、60人程参加してくれました。
プログラムの特徴は、現役の事務局幹部(部課長クラス)からなるメンター陣とのディスカッションです 。
参加者は事前課題として、自分が所属する法人・大学の課題を3つ、さらに自分の部署の課題を3つ、
合計6つの「喫緊の課題」を抽出してきます 。
そして、それらを単に挙げるだけでなく、解決策を立案するのです 。
「自らが実施する前提で考えれば、真剣味が全く違ってくる」
本間先生:
「自分ごと」が前提で参加者もメンターも議論するため、
メンターからは
「その分析では他部門からこんな反論が来るかもしれない、浅い!」
「うちの大学ではこう乗り越えた」
といったフィードバックが飛び交います 。
夜も夕食やその後の有志でのアフタートークも含めて議論し、2日目の最後には修正した最終案をプレゼンします。
現代の複雑な組織課題や教学改革は、過去のやり方を真似るだけのOJTだけでは太刀打ちできません 。
20代から40代の若手・中堅職員たちが、現場の最前線で戦っている現役管理職であるメンターの経験に裏打ちされたフィードバックを受けて、
「現場を動かす力」を掴み取ってもらうのがこのプログラムの狙いです。
「大学マネジメント研究会(通称:マネケン)」とは?
educe:
このプログラムを主催する「大学マネジメント研究会(通称:マネケン)」についてもお聞かせください。
本間先生:
マネケンを立ち上げた2005年当時は、国立大学の法人化直後でした。
それまでの日本の大学は、いわば「行政機構の一部」であり、自分たちで意思決定をする必要がない、
いわゆる「親方日の丸」の意識が強かったのです。
しかし、自律的な経営が求められるようになり、
限られた人的・物的資源でいかに目的を達成するかという「経営」の視点が不可欠になりました。
私がよく言うのは、かつての大学経営は「武士の商法」ならぬ「学士の商法」だったのではないか、ということです。
現在、大学を取り巻く環境はさらに厳しさを増しています。
18歳人口の激減により、今後定員500人規模の大学400校分に相当する需要が失われます。
こうした危機の時代において、大学間の競争だけでなく、「共有できる知見は共有し、共に高め合う」場が必要だと考え、
月刊誌の刊行や研修プログラムを通じて、本音ベースの実践事例を共有し続けています。
2:これまでのプログラムでどんな課題/対話があったか
educe:
実際に過去の参加者からはどのような課題が持ち寄られているのでしょうか?
また現場の職員が抱える悩みに対して、どんなアドバイスがあったか、教えてください。
課題は「組織」「人事」に集中する
本間先生:
このプログラムを通じて約60人×6件、つまり360件以上の課題が提出されてきました。
寄せられた課題をカテゴリに分けて分析してみたところ、
全体の約40%が「組織・業務運営」と「人事」に関するものでした 。
具体的には、「組織の縦割り」「若手のモチベーション低下」「評価の納得感不足」などです 。
これらは民間企業にも共通する課題ですが、
大学組織においては、年功序列や前例踏襲の文化、教職の分離といった構造があるため、
若手の声が届きにくく、より深刻に受け止められる傾向にあるのかもしれません 。
現場で悩む参加者へ送られた「改革」に向けたアドバイス
本間先生:
こうした壁にぶつかっている職員へのフィードバックで、メンターからの2つのアドバイスが印象に残っています。
1.「同志」を募れ
改革派は学内で孤立しがちですが、部署を超えれば必ず同じ思いの仲間がいます 。
まずは愚痴を言うだけの場ではなく、自組織を良くするための「勉強会」を立ち上げてください 。
現場の悩みを議論し、他大学の事例も取り入れながら改善策に昇華させることで、提案はより強固なものになります 。
2.決定権を持つトップに直接ぶつかれ
理事長や学長は現場から離れており、実は若手の具体的な提言を待っています 。
勉強会で磨き上げた「足が地に足がついた提案」を持って、「30分でいいから時間をください」と直談判に行ってください 。
提案を持ってきて、断られることはまずありません。
もし、聞く耳を持たずに断るようなトップなら、その組織に先はないので、辞めることも含めて考えたほうがいい 。
それくらいの覚悟を持って、「私がやりますから、課長にしてください。ダメなら平職員に戻していいです」と言える構想力を持つことです。
現場の職員が自ら動き出さない限り、どんなにトップが旗を振っても大学は変わらないのです。
ぜひ皆さんもご自分の大学の課題を持ち込んでみてください。
外部の視点からリアリティーのあるフィードバックを受けることができる貴重な機会になるでしょう。
皆さんのご参加を心よりお待ちしています!
編集後記
今回の本間先生のお話の中で特に痺れたのは、「学長や理事長は若手の提言を待っている」という一言です。
大学をよくするためのアイディアは持っていても「どうせ言っても無駄」と諦めてしまったことはありませんか?
実はトップ層が求めているのは、あなたの熱意ある具体的な提言かもしれません。
利害関係のない他大学の仲間と本音で語り合うこのプログラムは、学内を動かす一歩を踏み出す勇気につながるはずです。
2026年度も下記の日程でプログラム開催がきまっているとのこと。
この夏、他大学の仲間と共に、改革への確かな一歩を踏み出しませんか。
2026年度改革思考型若手・中堅職員育成プログラム
【2026年8月21日(金)・22日(土)開催予定】
※詳細は「大学マネジメント研究会」のHPから今後案内される最新情報をご確認ください。
▼Podcast本編はこちらからお聴きいただけます
今回の記事で触れきれなかった、プログラムで過去に寄せられた現場の課題や議論の具体的な内容などの詳細はぜひPodcast本編でお楽しみください。
#10-1 本間政雄の高等教育ラボ「現場から大学を変える。職員のための“越境プログラム”とは?」(前編)
#10-2 本間政雄の高等教育ラボ「現場から大学を変える。職員のための“越境プログラム”とは?」(後編)
番組は、Spotify、Apple Podcast、Amazon Musicでご視聴できます。

語り手
特別首席研究員:本間 政雄
エデュース学校経営研究所特別首席研究員
1971年名古屋大学法学部卒、旧文部省入省。London School of Economics修士。
旧文部省総務審議官を経て、2001年京都大学事務局長(04年理事・副学長)。
07~12年立命館副総長、立命館アジア太平洋大学副学長。
13~14年関東学院常務理事。
05年大学マネジメント研究会を設立し、会長を務める。
聞き手
エデュース学校経営研究所 研究員:栗原、土生
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